主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

  • 東京都
  • ARTS COUNCIL TOKYO

芸術⽂化による共⽣社会の
実現に向けた
"新たなコミュニケーションのあり⽅"
を創造する、9⽇間。
"誰もが楽しめる鑑賞体験"
とともにお楽しみください。

講堂

7.29(土)〜7.31(月)
  • トークセッション事前申込

ロビー階 第4公募展示室

7.29(土)〜8.6(日)
  • レクチャー&ワークショップ事前申込
  • パフォーマンス×ラボ
  • 展示

アクセシビリティサポート

  • 手話通訳
  • 日本語字幕
  • 触知図
  • サポートスタッフ

各種サポートに関するお問合せは「サマーセッション2023事務局」までご連絡ください。

Program

プログラム

■トークセッション | 2023.7.29(土) - 7.31(月)事前申込
アクセシビリティと共創をテーマに、さまざまな分野の専門家やアーティストを招き、文化施設での取組や最先端のテクノロジーの活用などについて議論します。

DAY 1

Session❶ 13:15-15:00

オープニング・主催者あいさつ/
「文化的『社会的処方』と共創の場」

「だれもが文化でつながる国際会議2022」で議論された共生社会における芸術文化活動を活用した取組について、イギリスでの実践を参照しつつ、日本国内での国や大学での共生社会の実現に向けたグローバルな事例を交えて、今後の展望について議論する。

  • 稲庭 彩和子
    稲庭 彩和子のプロフィール画像
    国立アートリサーチセンター 主任研究員 ロンドン大学UCL 修士修了。神奈川県立近代美術館、東京都美術館を経て、昨年より独立行政法人国立美術館 国立アートリサーチセンターのラーニング事業にて「健康とウェルビーイング」「アクセシビリティ」などを担当。著書、共著に『美術館と大学と市民がつくるソーシャルデザインプロジェクト』『コウペンちゃんとまなぶ世界の名画』『こどもと大人のためのミュージアム思考』等。https://researchmap.jp/inaniwasawako
  • 中野 敦之
    中野 敦之のプロフィール画像
    神奈川県民ホール 館長付き 事業課員、劇団唐ゼミ☆代表・演出、センターフィールドカンパニー合同会社代表社員。1981年、名古屋市生まれ。99年、横浜国立大学に入学し唐十郎に師事。05年に劇団唐ゼミ☆を創立。テントや野外での公演のほか、各種イベントの企画・運営を行う。2017年より神奈川芸術文化財団にて神奈川県による芸術文化事業の県域展開や共生共創事業を推進する。文化庁令和3年度新進芸術家海外派遣制度によりロンドンThe Albanyでコミュニティーワークを研修。
  • 伊藤 達矢
    伊藤 達矢のプロフィール画像
    1975年生まれ。東京藝術大学社会連携センター特任教授/副センター長。
    東京藝術大学大学院芸術学美術教育後期博士課程修了(博士号取得)。
    東京都美術館×東京藝術大学のアートコミュニティー形成事業「とびらプロジェクト」など、多様な文化プログラムの企画立案に携わる。
    現在、東京藝術大学が中核となる「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」プロジェクトリーダー。
    共著に『ケアとアートの教室』(左右舎)。
  • 森 司モデレーター
    森 司のプロフィール画像
    1960年愛知県生まれ。公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京 事業部 事業調整課長、女子美術大学特別招聘教授。
    主なディレクション実績に「東京アートポイント計画」、「TURN」がある。現在はだれもが芸術文化を楽しめるようになるための環境整備に取り組むプロジェクト「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の推進役を担い、都立文化施設や文化事業のアクセシビリティの向上にあたる。
Session❷ 15:30-17:00

「ろう者による表現」

2025年開催のデフリンピックを視野に、ろう者の文化や表現を理解し、ともに共生する社会の在り方について理解を深める。
ろう当事者であるデフアートの研究者やアーティストの三者が、ろう者の言語や身体性とつながる文化・表現について語ることを通じて、ろう者・聴者の関係性のあり方を再考察する。

  • 根本 和徳
    根本 和徳のプロフィール画像
    1993年、福島県いわき市生まれ。手話が第一言語の環境で生まれ育ったネイティブサイナー。現在は福島県の特別支援学校教員として働く傍ら、おすすめの本を手話で紹介する動画の発信、3.11手話語りなどを行う。福島県聴覚障害者協会の理事も務めている。また、手話による文化創造拠点づくりを目指す「めとてラボ」にて全体統括、アーカイブ事業を担当。手話による対話から生まれる表現や空間を日々追求している。
  • 西 雄也
    西 雄也のプロフィール画像
    大阪出身。
    日本財団聴覚障害者海外奨学金事業の奨学生としてギャローデット大学大学院ろう教育学部に在学し、バイリンガル教育や異文化教育の理論等を学ぶ。
    その傍らDe'VIAカリキュラムチームのメンバーとして参加し、デフアート(De’VIA)のコンセプトについて研究。
    現在、都内の教育現場にて美術教育に携わっている。
  • 管野 奈津美モデレーター
    管野 奈津美のプロフィール画像
    Re; Signing Project代表。アメリカにてろう者の芸術表現活動の研究を行い、帰国後、美術・デザインの教育に携わる傍ら、育成×⼿話×芸術プロジェクト美術部⾨「アートを通して考える」の企画運営を担当。ろう者による芸術表現の新たな可能性を模索し社会への問いを発信するアートプロジェクト「Re; Signing Project」を立ち上げ、2023年5月に当事者の視点から身体や感覚を捉え直す「〜 視覚で世界を捉えるひとびと」展覧会を開催。言語や文化、身体性との関わりをテーマに作品制作に取り組む。

DAY 2

10:00-11:00 (60分) /鑑賞無料
映画上映『手でふれてみる世界』

ユニバーサル字幕、音声ガイドでご鑑賞いただけます。

Session❸ 11:15-12:45

「ふれることから出会う世界」

視覚障害のある方の芸術文化の楽しみ方の幅を広げる取組と可能性について議論する。
「手でみる」イタリアでの実践やインクルーシブ教育の事例を通して、知覚の多様性や、視覚障害のある方の世界観やコミュニケーションについても語り合う。

  • 岡野 晃子
    岡野 晃子のプロフィール画像
    1973年生まれ。バンク・ストリート教育大学博物館教育研究科修士課程修了。コロンビア大学大学院美術及び美術教育研究科修士課程修了。ヴァンジ彫刻庭園美術館にて「センス・オブ・ワンダー もうひとつの庭へ」、「すべてのひとに石がひつよう 目と、手でふれる世界」など企画。視覚にとどまらない感覚による美術館教育を研究。その一環として、ドキュメンタリー映画「手でふれてみる世界」を制作。
  • 半田 こづえ
    半田 こづえのプロフィール画像
    明治学院大学非常勤講師/博士(芸術学)
    国際基督教大学卒業。在学中に訪れたアメリカの美術館で彫刻に触れて鑑賞したことをきっかけに美術に関心を寄せるようになる。1987年から1988年まで、フィラデルフィア美術館教育部The Office of Accessible Programs にてインターンとして研修を受ける。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程単位取得退学。筑波大学人間系障害科学域助教を経て、現職。
    主な研究テーマは触れる芸術鑑賞、ミュージアム・アクセシビリティ。
  • 茂木 一司モデレーター
    茂木 一司のプロフィール画像
    跡見学園女子大学文学部教授。
    専門は、美術科教育、インクルーシブアート教育。
    1956年群馬県生まれ。筑波大学大学院修士課程芸術研究科デザイン専攻修了。九州芸術工科大学大学院博士後期課程芸術工学研究科情報伝達専攻修了。博士(芸術工学)。鹿児島大学教育学部講師・同助教授、群馬大学教育学部教授を経て、現職。研究としては、ルドルフ・シュタイナーの芸術教育から、総合的学びとしてのワークショップ研究、現在は障害があるものとないものがいっしょに学ぶことをアートでつなぐ、インクルーシブアート教育を理論的実践的に研究中。
Session❹ 13:30-15:00

「来館しやすい美術館」

アクセシビリティや障害当事者への理解促進につながる取組事例を紹介する。
先駆的かつ継続的に取り組んできた徳島県立美術館や水戸芸術館の事例を通して、美術館の課題と展望を語り合う。

  • 竹内 利夫
    竹内 利夫のプロフィール画像
    徳島県立近代美術館上席学芸員
    京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科意匠工芸学専攻修了。1990 年徳島県立近代美術館オープン時より同館に勤務。主に版画・デザイン関係の展示を担当。こども鑑賞クラブ、誰もが楽しめる鑑賞プログラムの開発、ユニバーサルミュージアム事業に力を注いでいる。近年の展覧会は「暮らしの感覚—アートとデザインが交流する空間」展、「思い出のアルバム−人生を語るユニバーサル展示」展など。
  • 亀井 幸子
    亀井 幸子のプロフィール画像
    徳島県立近代美術館 主席
    徳島県出身。美術大学を卒業後、徳島県立学校の美術教員となり、特別支援学校、聾学校、工業高校などに勤務。2011年に県立近代美術館に異動となり、エデュケーターとして学校教育との連携やユニバーサル事業に携わっている。地域の保育所や児童館等と連携し、乳幼児を対象としたアート活動にも積極的に取り組んでいる。
    また、「大人と子ども」、「障がい者と支援者」といった固定的な関係を緩やかに解き、共に学び合い成長できる場を美術館につくりたいと考えている。
  • 森山 純子
    森山 純子のプロフィール画像
    水戸市生まれ。茨城大学教育学部卒業。1990年水戸芸術館開館時からアシスタントとして教育普及事業に関わる。1997年より水戸芸術館現代美術センター教育プログラムコーディネーター。ボランティアをはじめとする市民プログラムの運営のほか、「高校生ウィーク」(1993-)、「視覚に障害がある人との鑑賞ツアーsession!」(2008-)ほか、多様なコミュニティに向けたアクセスプログラムを実施。
  • 大内 郁モデレーター
    大内 郁のプロフィール画像
    東京都渋谷公園通りギャラリー文化共生課長・学芸員。大学院で日本での周縁的な芸術に関する研究とともに研究室のアートプロジェクトに参画。のち、高知のNPOが運営する「藁工ミュージアム」学芸員としてアール・ブリュットの展覧会やシンポジウムなどを企画・実施。アーツカウンシル新潟((公財)新潟市芸術文化振興財団)のプログラム・オフィサー(社会包摂担当)などを経て、2019年より現職。
Session❺ 15:30-17:00

「劇場・ホールにおける共創的体験」

世代や背景を問わず、表現を通して出会い合える劇場・コンサートホールの機能や可能性を語り合う。
障害のある方との表現活動に取り組んできた近藤良平氏と、コンサートホールでの「リラックスパフォーマンス」やアウトリーチプログラムを、障害のある方との議論を重ねて実践してきた梶奈生子氏とともに、誰もが楽しめる舞台芸術や音楽、また鑑賞体験のあり方を議論する。

  • 近藤 良平
    近藤 良平のプロフィール画像
    振付家・ダンサー、コンドルズ主宰。1996年にダンスカンパニー「コンドルズ」を旗揚げ、全作品を構成・演出・振付を手がける。世界約30ヵ国で公演。TV・映画・演劇でも振付出演多数。埼玉県との共働による障害者によるダンスチーム「ハンドルズ」公演など、ダンスを通じた社会貢献にも取り組む。第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞、第67回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2022年4月より、彩の国さいたま芸術劇場芸術監督。
  • 梶 奈生子
    梶 奈生子のプロフィール画像
    東京文化会館 事業企画課長。
    国立音楽大学声楽学科卒業。東京音楽大学研究科オペラコース修了。
    藤原歌劇団オペラ公演や新国立劇場との共催オペラ公演等の制作、江副育英会(現公益財団法人江副記念リクルート財団)新進アーティスト支援等を経て、東京文化会館50周年を機に現職に着任。東京文化会館の主催事業である創造発信や人材育成、教育普及、社会包摂の各事業展開に携わる。
  • 中村 美亜モデレーター
    中村 美亜のプロフィール画像
    九州大学大学院芸術工学研究院教授(文化政策・アートマネジメント研究)。芸術活動が人や社会に変化をもたらすプロセスや仕組みに関する実践・学際研究を行なっている。訳書に『芸術文化の価値とは何か―個人や社会にもたらす変化とその評価』(水曜社、2022年)、編著に『文化事業の評価ハンドブック―新たな価値を社会にひらく』(水曜社、2021年)、単著に『音楽をひらく—アート・ケア・文化のトリロジー』(水声社、2013年)など。

DAY 3

Session❻ 10:00-11:30

「デフリンピックに向けて」

2025年のデフリンピックを視野に、国内外のろう者とともに芸術文化を楽しむための文化施設の機能や、表現への情報保障の在り方について議論する。
耳の聞こえる人も聞こえない人も一緒に楽しむために創作された「手話能」の関係者を交えて「伝統/現代」の垣根を超えた「表現」の今後の展望を語る。

  • 大杉 豊
    大杉 豊のプロフィール画像
    1982年創立の日本ろう者劇団団員、デフパペットシアターひとみの活動など多くの舞台を経験した後、米国ロチェスター大学で手話言語学の研究10年。帰国後は全日本ろうあ連盟勤務を経て筑波技術大学教授。きこえない学生のキャリア教育、手話言語の歴史的な変化や地域的な差異の研究を続ける。2021年からはデフリンピック運動を統括する国際ろう者スポーツ委員会の副会長として、世界各地のデフ(ろう者)スポーツ振興に取り組んでいる。
  • 清水 言一
    清水 言一のプロフィール画像
    喜多能楽堂館長。2013年の着任を機に能楽堂を運営する(公財)十四世六平太記念財団が主催事業の実施に着手、手話公演をはじめ能楽の普及事業の企画制作にあたるとともに、地元自治体や地域団体との連携、ファンドレイジング等、対外的な活動を担当、推進している。
  • 江副 悟史モデレーター
    江副 悟史のプロフィール画像
    東京都出身。日本ろう者劇団に入団後、手話狂言や自主公演などに出演。2010年3月までNHK「こども手話ウイークリー」のキャスターを務める。映画『獄に咲く花』で杉敏三郎役を演じる。3.11震災後にネット手話ニュース「DNN」を立ち上げる。(現在休止中)
    2017年より日本ろう者劇団の劇団代表を務める傍ら俳優、講演、手話表現者、手話監修、手話弁士、キャスターなど幅広く活動中。
Session❼ 12:30-14:00

「情報保障とテクノロジー」

最先端技術等を用いアクセシビリティの拡充に取り組む文化施設やオルタナティブスペースの事例を通して、テクノロジーを活用した情報保障への理解と知見を深め、多世代や様々な領域を接続させる「いまとこれから」の情報保障について議論する。

  • 中野 夏海
    中野 夏海のプロフィール画像
    日本科学未来館 科学コミュニケーター。
    未来館のアクセシビリティ推進プロジェクトのメンバーとして、透明字幕パネルを使った展示ツアーや、視覚障害者向け展示ツアーを担当。
    先進的なテクノロジーで喜ぶ人の笑顔と、そのテクノロジーだけでは解決できない課題の両方に向き合いながら、未来館ならでは、自分ならではの科学コミュニケーションを模索しています。
    修士(医科学)。診療放射線技師。専門はクラゲの分子系統分類。
  • 設楽 明寿
    設楽 明寿のプロフィール画像
    筑波大学 図書館情報メディア研究科 博士後期課程触覚刺激を用いたスタートシステム「HaptStarter」、透明ディスプレイに話した言葉を表示するシステム「See-Through Captions」、空気渦輪を用いた呼びかけ支援システム「Air Talk-Start」などのろう・難聴者向けアクセシビリティに関する研究に取り組んでいる。また、2017年にトルコのサムスンで開催された、第23回夏季デフリンピック競技大会の陸上競技男子4×100mリレー 日本代表メンバー(第3走者)を務め、金メダルを獲得した。現在では、研究に集中するために引退した。
  • 阿部 一直 モデレーター
    阿部 一直 のプロフィール画像
    キュレーター、プロデューサー、東京工芸大学芸術学部教授
    1960年生まれ東京藝術大学美術学部藝術学科美学専攻卒。1990~2001年キヤノン株式会社「アートラボ」専任キュレーター。2003年~2017年山口情報芸術センター[YCAM]:アーティスティックディレクター、副館長。2006年ベルリン「transmediale award 06」国際審査員。2022年〜 経済産業省「アートと経済社会について考える研究会」委員。2018年韓国国立Asian Cultural Center「Otherly Space / Knowledge」展キュレーション(カンジュ市)、2023年池上高志+新津保建秀+evala「Mind Time Machine II」(東京大学先端科学技術研究センター)キュレーションなど。
Session❽ 14:30-16:00

「共創するとは何か~文化的実践を通して~」

地域の高齢者と共同制作の実践を重ねるアーティスト西尾美也氏と様々な障害や世代や属性の人と協働と対話を重ねてきた研究者伊藤亜紗氏の対談を通して「共創」することの可能性を探る。
「共に創る」ことの本質と可能性に迫り、共生社会のあり方の議論を、次回の国際会議につなぐキックオフとする。

  • 西尾 美也
    西尾 美也のプロフィール画像
    1982年奈良県生まれ。美術家。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目したプロジェクトを国内外で展開。ファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」を手がける。近年は「学び合いとしてのアート」をテーマに、様々なアートプロジェクトやキュレトリアルワークを通して、アートが社会に果たす役割について実践的に探究している。共著に『ケアとアートの教室』(2022年、左右社)など。
  • 伊藤 亜紗
    伊藤 亜紗のプロフィール画像
    美学者。東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長、リベラルアーツ研究教育院教授。MIT客員研究員(2019)。もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。博士(文学)。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社)。第13回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、第42回サントリー学芸賞、第19回日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。
  • 森 司
    森 司のプロフィール画像
    1960年愛知県生まれ。公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京 事業部 事業調整課長、女子美術大学特別招聘教授。
    「東京アートポイント計画」を2009年から担い、ディレクターとしてアート NPO等との協働による街なかでのアートプロジェクトの企画運営を行う。
    2011-2020年まで「東京都による芸術文化を活用する被災地支援事業(Art Support Tohoku-Tokyo)」を担当し、2015-2021年まで東京 2020公認文化オリンピアード事業「東京キャラバン」「TURN」のプロジェクトディレクターを務めた。
    現在「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」の推進役を担い、財団としてのアクセシビリティの向上にあたる。

トークセッションでの知見をより深める、体験と学びの場です。

レクチャー & ワークショップ事前申込

アクセシビリティの向上や共生社会の実現に向けて、今日の社会に必要な情報保障や多様な他者とのコミュニケーションの形をともに考え、体験する場として、レクチャーやワークショップを6つのテーマで実施します。

テーマ❶ 2023.8.1(火) 13:30-15:30

視覚身体言語とコミュニケーション

和田夏実さんを中心にめとてラボのメンバーが実施する、感覚と身体性の再構築を考えるワークショップ。
「つたえる、うけとる、つたえあう」ことについて新たなコミュニケーションの在り方をみつけていく。手話に代表される視覚身体言語と、話すことを中心とする音声(書記)言語について知り、コミュニケーションついて考えていく。

講師
和田 夏実(めとてラボ)

ろう者の両親のもとで手話を第一言語として育ち,視覚身体言語の研究、様々な身体性の方々との協働から感覚がもつメディアの可能性について模索している。触手話をもとにした繋がるコミュニケーションゲーム”LINKAGE”、”たっちコースター”など、ことばと感覚の翻訳方法を探るゲームやプロジェクトを展開。2016年手話通訳士取得。Tokyo Art Research Lab「東京プロジェクトスタディ1」ナビゲーター(2020~2021年度)、東京アートポイント計画「めとてラボ」全体統括(2022~)

テーマ❷ 2023.8.2(水) 13:30-15:30

やさしい日本語

「やさしい日本語」とはどういうものなのかをレクチャーで学び、理解を深め、その後ワークショップで「やさしい日本語」を通して自分の言語コミュニケーションを振り返る。また、グループで具体的な事例をもとに「やさしい日本語」に挑戦する。

講師
金田 智子(学習院大学 教授)

専門は日本語教育、教師教育。現在は、「生活者としての外国人」が日本語を身に付けていく環境を整えることに力を注いでいる。

講師
稲葉 未希(公益財団法人東京都つながり創生財団)

前職では日本語教師として外国にルーツを持つ子どもたちや在住外国人への日本語教育に携わる。東京都つながり創生財団入職後は、やさしい日本語普及啓発事業と情報発信事業を担当し、日本人も外国人もあらゆる人が生活しやすい多文化共生社会を目指し事業に取り組む。

テーマ❸ 2023.8.3(木) 13:30-15:30

触察

体験を織り交ぜたレクチャーをとおして、触察とは何かを考えていく。日常で使用する様々なモノや3Dで制作された絵画や、触知図などを触りながら、「さわって見る」ことを体感する。イタリアの事例も交えながら、視覚障害のある方がどのようにさわって見ることを習得していくのか、教育の観点からも参加者と共に考えていく。

講師
大内 進(星美学園短期大学日伊総合研究所 客員研究員)

専⾨は、視覚障害教育、イタリアのインクルーシブ教育等。「手と目でみる教材ライブラリー」を運営。イタリアの「アンテロス美術館」の東京分館として半立体的に翻案した絵画を紹介するなど、手でみることの可能性を追究している。著書に『視覚障害のためのインクルーシブアート学習――基礎理論と教材開発』(編著、ジアース教育新社、2021年)、訳書に『イタリアのフルインクルーシブ教育-障害児の学校を無くした教育の歴史・課題・理念』(監修、明石書店、2022年)など。

テーマ❹ 2023.8.4(金) 13:30-16:00

視覚障害と鑑賞プログラム

全盲の美術鑑賞者白鳥建二さんと展示会場内の作品をしゃべりながら観る(白鳥流・会話型美術鑑賞)ワークショップ。参加者同士の対話をとおして、新たな作品の観方を体験していく。ワークショップ後は振り返りとレクチャーを公開で実施。ワークショップ参加者以外も、振り返りとレクチャーにはその場で参加できる。(15:00からのレクチャー部分は申し込み不要)

講師
白鳥 建二(全盲の美術鑑賞者)

1969年千葉県生まれ。全盲の美術鑑賞者。生まれつき強度の弱視で、12歳のころには光がわかる程度になり、20代半ばで全盲になる。そのころから人と会話しながら美術鑑賞をする独自の活動を始める。以来20年以上、年に何十回も日本各地の美術館を訪れている。水戸芸術館現代美術センターをはじめ、いくつもの場所で講演やワークショップのナビゲーターを務めている。好きなものは音楽とお酒。

テーマ❺ 2023.8.5(土) 13:00-16:00

車いすというメディウム

現代美術家の檜皮一彦さんが実践するインタラクティブアート実践。参加者は車椅子を持ち、担ぎ、回しながら、移動することによって、空間と身体、社会と身体との関係性を見直す。参加者同士で工夫しながら車椅子を様々な場所へ持ち運ぶことによって、参加者同士が体験を共有し、その行為について共に思考するというアート実践となる。

講師
檜皮 一彦(アーティスト)

大阪府生まれ。身体性をテーマにした映像作品やパフォーマンス、自身も使用する車椅子をインスタレーションする「HIWADROME」をファーストラインに、ワークショップや旅を通したモビリティやアクセシビリティのリサーチプロジェクトである「walkingpractice」、ペインティング作品を中心とした「DRAWING EXPERIMENT」、衣服を用いてボディと社会の関係性を考察する「HIWADROModE by Kazuhiko Hiwa」などのラインを展開している。

テーマ❻ 2023.8.6(日) 13:30-15:30

ろう文化

大杉豊さんによる「ろう・難聴者の社会参加」についてのレクチャーで、ろう文化について学ぶ。
※大杉さんの授業を履修している学生たちも参加。

講師
大杉 豊(筑波技術大学 教授)

1982年創立の日本ろう者劇団団員、デフパペットシアターひとみの活動など多くの舞台を経験した後、米国ロチェスター大学で手話言語学の研究10年。帰国後は全日本ろうあ連盟勤務を経て筑波技術大学教授。きこえない学生のキャリア教育、手話言語の歴史的な変化や地域的な差異の研究を続ける。2021年からはデフリンピック運動を統括する国際ろう者スポーツ委員会の副会長として、世界各地のデフ(ろう者)スポーツ振興に取り組んでいる。

パフォーマンス × ラボ

芸術作品を伝えるための情報保障について考える公開研究ラボ。

ジョイス・ラムのレクチャー・パフォーマンス作品

《家族に関する考察のトリロジー/On Family》(2021-2022/2023)

音声や文字による情報保障を加える「めとてラボ」チームとジョイス・ラムがワークショップを行い、ジョイスのレクチャー・パフォーマンス作品《家族に関する考察のトリロジー/On Family》の伝え方を探求します。最終日(8/6)には、アクセシビリティに対応した状態でのレクチャー・パフォーマンスを上映します。

スケジュール
●8.1(火) 10:00-16:00【ラボDay1】
・作品レクチャー・情報機器説明
●8.2(水) 10:00-16:00【ラボDay2】
・情報保障の手法や内容の検討
●8.3(木) 10:00-16:00【ラボDay3】
・情報保障の手法や内容の検討
●8.4(金) 10:00-16:00【ラボDay4】
・情報保障の手法や内容の検討
●8.5(土) 10:00-16:00【ゲネ】
・パフォーマンス準備
●8.6(日) 10:00-16:00【パフォーマンス】
・ジョイス・ラムのパフォーマンス
アーティストプロフィール
ジョイス・ラム
香港生まれ。映像作品やレクチャーパフォーマンスの制作を通して「家族」の定義を捉え直す。国や組織が作る複数の家系図を用いた《家族に関する考察のトリロジー》を、TOKAS-Emerging 2022の個展として発表(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2022年)、および横浜国際舞台芸術ミーティング(YPAM)フリンジ2021にて自宅で上演。2022年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。2022年度アーツコミッション・ヨコハマU39アーティスト・フェロー。
めとてラボ
誰もが「わたし」を起点にできる共創的な場づくりを目指し、その環境や仕組み、空間設計などを含めた幅広い視点からホーム(拠点)づくりを行うプロジェクト。アーツカウンシル東京「東京アートポイント計画」の一環として、視覚言語(日本手話)の中で育まれる感覚や言語を起点とした表現や場を探求している。

展示

現代美術家、ろう者等アーティストの作品展示や最先端のテクノロジーを用いた情報保障の取組を発表します。

❶身体と多様性と表現

60数台の車椅子を素材に用いた作品を展示。多様な知覚や身体感覚、異なる他者とのコミュニケーションについて問いを投げかけます。
属性や背景が異なる世界と出会い、アクセシビリティについて多角的な視点を獲得する契機をつくりだします。

アーティストプロフィール
檜皮 一彦
大阪府生まれ。身体性をテーマにした映像作品やパフォーマンス、自身も使用する車椅子をインスタレーションする「HIWADROME」をファーストラインに、ワークショップや旅を通したモビリティやアクセシビリティのリサーチプロジェクトである「walkingpractice」、ペインティング作品を中心とした「DRAWING EXPERIMENT」、衣服を用いてボディと社会の関係性を考察する「HIWADROModE by Kazuhiko Hiwa」などのラインを展開している。
檜皮 一彦のプロフィール画像

❷共創する活動

元タンス店を改装して大阪市西成区で展開するkioku手芸館「たんす」の活動を紹介。美術家・西尾美也と「たんす」に通う女性(おばちゃん)たちとの共同で立ち上げたファッションブランドの店舗風景を再現し、独自の手法を元に創作された洋服を展示。店長としておばちゃんたちが駆けつける日もあります。

参考写真:NISHINARI YOSHIOのプロジェクトより
アーティストプロフィール
西尾 美也
1982年奈良県生まれ。美術家。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目したプロジェクトを国内外で展開。ファッションブランド「NISHINARI YOSHIO」を手がける。近年は「学び合いとしてのアート」をテーマに、様々なアートプロジェクトやキュレトリアルワークを通して、アートが社会に果たす役割について実践的に探究している。共著に『ケアとアートの教室』(2022年、左右社)など。
西尾 美也のプロフィール画像
Photo by Keiichi Sakakura

❸ろう者と表現

国内のろうアーティストによる作品展示絵画、漫画、写真等の表現、作品をとおして、ろう者の知覚や世界観やコミュニケーション、ろう教育についての理解を深めていきます。
企画協力(アドバイザー):大杉 豊、管野 奈津美、西 雄也

アーティストプロフィール
坂口 環
岡山県出身。生まれつきのろう者。言語は手話。 子供時代に父が買ってくれた単行本『ど根性ガエル』と出会い、漫画に興味を持つ。岡山県立岡山聾学校 理容専攻科卒業。1989年3月、公益社団法人岡山県聴覚障害者福祉協会の機関紙「ろうあ岡山」の4コマ漫画「たつの家」毎月掲載スタート。2009年2月、20年の節目で初の単行本を出版。2020年4月、さらに11年の節目でパート2も単行本を出版。現在、岡山市内で理容店を営みながらパート3連載中。
齋藤 陽道
1983年、東京都生まれ。2020年から熊本県在住。都立石神井ろう学校卒業。2010年、写真新世紀優秀賞。写真集に『感動』『感動、』(赤々舎刊)、『宝箱』(ぴあ刊)。エッセイ集に、『声めぐり』(晶文社刊)、『異なり記念日』(医学書院刊)などがある。2022年には『育児まんが日記 せかいはことば』を発行。同年、Eテレ「おかあさんといっしょ」のエンディング曲「きんらきらぽん」の作詞を担当。写真家、文筆家としてだけでなく、活動の幅を広げている。
濵田 慎一郎
1958年、福井県 坂井郡金津町(現あわら市)生まれ。ろう者。1977年、越前漆器伝統工芸士蒔絵士漆職人 松田眞扶に師事。漆職人として最も厳しい道である「蒔絵師」を選び、その結果「漆画」という新しい表現方法を切り開く。2022年、鯖江市美術展市長賞、濵田慎一郎第3回漆画展(新宿京王百貨店)、個展 福井工芸社(福井市)。

❹情報保障とデバイス

QDレーザを体験した盲学校の高校生と写真家の池田晶紀による作品の展示芸術文化の鑑賞や体験のサポートにつながる先端テクノロジーやデバイスを通して、今日の情報保障のあり方を考えます。
さらにアーティストとの表現手法も重ね合わせることで、技術と情報保障への創造的な視点を提供します。

アーティストプロフィール
池田 晶紀
写真家。1999年、自ら運営していた「ドラックアウトスタジオ」で発表活動を始める。2006年写真事務所「ゆかい」設立。2021年スタジオを神田ポートビルへ移転。同ビルのクリエイティブディレクションを担当し、神田の社会実験及びまちづくりを計画した路上企画などもてがけている。近年の展覧会は、2023年「池田晶紀写真展 写真でつながる街と街〜大手町・神田〜東京ビエンナーレはじまり展〜」、2015年よりTURNにも参加。主な著書に、写真集『SAUNA』、『いなせな東京』など。
アンテロス美術館東京分館の作品展示
手でみる美術館。イタリア北部のボローニャ市内にあるカヴァッツァ盲人施設の一角にある。本展示では東京分館所蔵の手でみる作品(イタリアを代表するルネッサンス期の絵画)に実際にふれながら鑑賞できる。

❺TOUCH PARK

目をつぶった状態で、手の感覚と触覚パーツのヒントを頼りに自らの力で進む、迷路のような空間。触るだけで次に向かうべき場所がわかるような仕掛けがされており、触覚で遊ぶアトラクションにもなっている作品である。

photo credit:kazuki takahashi
アーティストプロフィール
magnet
「つなぐ」をテーマに制作を行うコミュニケーションデザインコレクティブ。当事者との共創を起点に、人のつながりを生み出すための遊びや、サインシステムなどを制作している。ポリシーは、まるで磁石のように、他者と自然とくっついてしまうような体験を作ること。主な受賞歴にTOKYO MIDTOWN AWARD、中国DIA賞など。

Access

アクセス

東京都美術館
講堂、ロビー階 第4公募展示室
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
※会場への直接のお問い合わせはご遠慮ください。